ホーム > 研修紹介 > 令和2年度 研修概要と実績 > 立法法務 研修概要
自治体経営研修
立法法務
目標 ・研修テーマとして設定された、自治体が直面している重要な政策課題に関する知識やその課題解決のための政策形成と条例作成に関する知識の習得を図る。
・各種情報の収集、活用を行い、地域や組織に潜在する課題を発見し、条例により解決手段を具体化する能力の向上を図る。
・長期間に及ぶ他自治体職員との交流により、人的ネットワークの形成と、危機意識や改革意識の醸成を図る。
向上能力 政策形成、課題発見、情報収集・活用、課題解決、企画・政策立案、政策法務
対象 原則として在職5年以上の職員で、政策法務能力が必要とされる職員
研修日程 8/12(水)、 8/25(火)、 9/ 4(金)、 9/15(火)、 日数 8日
10/ 6(火)、10/30(金)、11/11(水)、12/10(木) 時間 52:00
実施科目 科 目 名 時間数 科 目 内 容 方  法
調査・研究 48:45 ・自治体の現状と課題
・政策法務論
・グループによる調査、研究、条例作成、報告書作成
講  義
討  議
成果発表 3:15 ・研修成果の発表 発  表
講師 元研修所講師 水越寿彦
研修所講師 西川昌彦
テーマ 認知症の人や家族が安心して暮らせるまちの実現
テーマ趣旨
 厚生労働省の推計によると、日本の認知症有病者数は2025年に700万人、65歳以上の高齢者の5人に1人の割合になると見込まれている。現状、根治できる薬物療法が存在しない認知症は、高齢化の進展により、自分は元より、家族や身近な人が罹患することを含めると、誰もが当事者になりうるものとなっている。
 認知症は、暴言・暴力、徘徊・行方不明、妄想などが問題になりやすく、家族が社会から隔離して介護するというケースも見受けられる。このような中、愛知県で徘徊行動のある認知症高齢者がJR東海道線に衝突、死亡した鉄道事故で、JR東海は約720万円の損害賠償を家族に求め提訴した。平成28年に出された最高裁判決では家族に賠償責任はないと示したものの、監護・介護の実態によっては責任を問われる余地を残した。
 国は、令和元年6月、関係閣僚会議において「認知症施策推進大綱」をとりまとめ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し施策を推進していくとしているが、認知症の人との共生は、住民にもっとも身近な基礎自治体においても積極的に取り組むべき課題といえる。
 こうした視点から、本研修では、認知症の人やその家族が、地域で支えられ、安心して暮らせるまちを目指す条例づくりに取り組んでいく。
研修所メッセージ
・設定されたテーマに対して、約4か月にわたってグループで調査、研究を行い、1つの条例を作成するゼミナール型の研修です。
・主な研修の流れとしては、自治体の置かれている現状と抱えている政策課題を分析し、そこから具体的な政策を考え、課題解決の手段としての条例を作成します。
・条例作成の過程では、立法目的、立法事実を明確にした上で条例の内容検討へと進み、法制実務の経験のある講師から整合性、適法性等の確認を受けて、条文を作り上げていきます。
・研修の進行状況により、研修生からの要望があり研修所が必要と認めた場合は、研修日程を追加する場合があります。
・「政策形成能力の向上」、「法務能力の向上」、「他団体の研修生との強い絆」など日常業務だけでは経験できない貴重なものを得ることができます。
・演習がメインの研修です。講師をアドバイザーとして、自分たちで進行方法を考え、調査、研究を進めていくため、プロジェクト管理の手法も身に付けることができます。
参加した研修生の声
【令和元年度の研修テーマ】
子どもがいきいきと安心して健やかに育つまちの実現
【本科生の声】
・課題に対するアプローチを考える上で、いろいろな人の意見を聞けて自分には無い気づきがたくさんあり、刺激になりました。
・条例を策定する中で、現状、課題、原因、対策を検討したことで、日々の行政運営において常にこの4点を意識して職務に向き合うことが昨今の自治体の問題を解決する上でとても重要であると再認識できた。
・実務に則した流れで、また研修日程の限られた時間で取り組むことができたので、実際に立法法務を行うことのイメージを持つことができた。
【成果発表会参加者の声】
・同じテーマでも、違った条例が制定されており面白いと思いました。テーマの中にどこに重きをおいているのかどこが一番の課題と感じているのかがその市によって違う、つまりその市の特色でもあるのだと思います。
・テーマが大きく、中々具体的な数値目標の設定が難しい課題で条例という形を作成できて凄いと思いました。”地域ならでは”という点を意識し、課題解決のためにどのような条例にしたら良いのかを考える事は難しいですが、どんな分野にも活かせる内容であると思います。
・立法法務というとやや専門的なイメージを抱きがちですが、本研修は立法法務のみならず、行政の課題に向き合い真剣に考える良いきっかけになるものだと思います。
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